田代町立越山小学校平滝分校 (ひらたき)
About 田代町立越山小学校平滝分校
秋田県大館市早口平滝にある分校跡地。冬季分校時代の建物が残り、地区会館として利用されているらしいが痕跡は少ない。集落一帯は戦後の開拓集落で、ダムの先にあり町中からは大きく離れている。
スポット評価
終末度合い | 15 |
訪問難易度 | 21 |
観光地要素 | 20 |
化石的価値 | 16 |
総合評価 | 72 |
道中は修弘霊場を思い起こす山中をぐんぐん登っていく。熊注意の看板も多数あり、随分と離れた集落に向かうものだと感慨深い。林道を長時間進めば岩野目小方面に行くこともできるが、人家が全くないためお勧めできない。
田代町立越山小学校平滝分校のさじなげB級ポイント
先に話しておきたいのは、統合元の越山小学校も閉校している点だ。
2008年に長栄閣近くの大館市立山瀬小学校に統合されている。
山瀬小には赤川、山田(保滝沢方面)、越山の4つが組み込まれている。いずれも公民館として建物が残っているが、中でも越山小は統合先から北に8km近く離れている。ここはかつて鉱山集落の起点地として賑わいを見せていた。
それでも早口駅前~赤川~越山(集落手前)は大館市花岡地区に至る県道68号線が整備されていて道中は気分がいい。更に越山公民館の館長は素晴らしい休憩所を作られており、集落入口には花が植えられていて歓迎ムードも満点だ。
秋田県内には珍しいおもてなしでストレス社会も崩壊していきそうだ。越山小から200mほど北上すると山瀬ダムがあるが、訪問時はクマ出没の影響でダムへの入口は閉鎖されていた。うーん残念。
発電所への訪問を諦め、電柱を頼りに左の山道を上がっていく。1.5kmほど進むと雨池牧場に進む分かれ道があるが、直進先は赤倉鉱山集落で分教場(1915~1940)も開設されていた。
本来の道路へと左折して直進を続けると開けた高地が見えてくる。それこそが今宵の目的地平滝開拓地である。
集落名の看板から見えるのは上の景色である。集落らしきものが見たらないが、戦後の開拓集落なので仕方ない。しかし最盛期27戸というのは信じがたい。
見えている建物こそが分校跡地(地区会館)だ。田代町立越山小学校平滝分校は1948年の開校で、当時は岩野目小学校の越境分校扱いだった。最盛期は1959年の児童34名、その後1977年に常設を廃止して冬季分校となり、1991年に閉校と平成期まで続く長い歴史を持っている。
本校は集落の入口に建てられた珍しいタイプの学校で、周辺に4戸ほどが生活している。しかし会館内の時計は止まったまま、耕作放棄地も多かった。
学校の後ろには「拓魂之碑」石柱と、開拓地(林道)整備を示す看板(上画像)があった。明記されている千歳(ちとせ)は1970年に廃村となった地区で、最盛期17戸だが全くの山林に戻っている。(参考:秋田・消えた開拓村の記録)
実質行き止まりの集落だが、分校を含めて訪問する価値は十分にある。先人の努力を身近に見学できる修学旅行であった。参考記事(森を越えたもう一つの奥地):田代町立大野小学校