花岡平和祈念館 (はなおか)
About 花岡平和祈念館
秋田県大館市花岡町前田にある民間施設。2009年の開館で、内部には第2次世界大戦中に発生した中国人強制連行および過酷な虐待への蜂起を示す「花岡事件」について克明に記されている。
スポット評価
終末度合 | 25 |
訪問難度 | 25 |
観光要素 | 20 |
化石価値 | 25 |
総合評価 | 95 |
お世辞にも軽い気持ちでの訪問は一切お勧めできない。事前にこの事件について勉強し、一定の価値観を抱いたうえで訪れなければ、ショックを受け止めることは到底不可能である。
花岡平和祈念館のさじなげB級ポイント
重い扉は己の力で開くためにある。戦争遺恨は秋田県内にも数多く残るが、土崎空襲をはじめとした多くは県民の記憶から遠くなりつつあり、学ぶ機会もかつてより減ってしまった。
大館市の老人ホームでは、毎年ある事件の慰霊日に利用者さんたちが突然涙を流すという。それはただ弔いの心を持っているだけではなく、もっと深い意味があるそうだ。
地域住民から話を聞こうにも、よりどころである花岡温泉は2020年末で営業を終了してしまった。
跡形もない敷地に緑が生まれ変わっていた。歴史とは無残なもの。
案内も控えめな木造の小屋らしき建物が記念館である。冬季休業かつ10~15時しか開いていない施設ではあるが、その価値は県内随一のオリジナリティとともにある。
しかし入ってすぐ〇体の写真が出てくるため、初見バイバイどころの話ではない。
果てしなく続く想い
花岡平和祈念館は2009年の開館で、中には戦時中の中国人虐待記録に関する聞き書きや証拠写真が多数展示されている。上は当時の中国人労働者が冬に着せられていた実際の衣服である。
彼らを収容した寮跡地は固定に沈められた。シラミにまみれ、やせ細った多くの命が強制労働や虐待により失われた。中には熱した鉄パイプで体をそのまま切断された者もいたという。
管理者の高齢男性は何も語らず、静かに電気をつけるだけだった。動きもおぼつかない。
986人のうち419人が死亡した戦時中でも稀にみる悲惨な状況は、GHQが訪れるまで世の中に知らされることもなかった。昭和期には遺骨返還などの活動が進んだことで遺族も訪問してくれるようになったというが、かつての記録を見ると当時の大館市民が襲撃されそうになったという記述もあった。
ここで詳細を書くことが憚られる過酷な環境は、是非皆さんの手で調べていただきたい。
文字列だけで吐き気や嫌悪感を示し、当時の人々への謝罪の気持ちを感じることは間違いないだろう。
しかしながらその事実を受け止め、後世に伝えることができること自体は平和の証である。
ちなみに一番上の壁画に描かれたのは隆起した中国人をある場所に捉えて屋外に三日三晩放置したことを表したものである。当時は野蛮な華人と馬鹿にされ、地元民は彼らに…いや、それも反省あってのことだ。ときに人間は判断を誤ってしまう。失敗から多くを学ばなければならない。