大館市営長森住宅 (ながもり)
About 大館市営長森住宅
秋田県大館市花岡町字長森33にある市営住宅。全28戸でAからKまで並んでいるが、そのうちD、H、I棟は既に解体されていて残っていない。現存する8棟も半分以上が現在使われておらず、空前の灯を見せつけてくる。
スポット評価
終末度合い | 21 |
訪問難易度 | 11 |
観光地要素 | 16 |
化石的価値 | 19 |
総合評価 | 67 |
大館市北北西に位置する花岡地区から更に北上した場所にあるため、観光客はまず来ないと考えていい。しかし奥に繋沢集落と土目内集落があることで市営バスが通じており、公共交通機関でも訪れることができる。
大館市営長森住宅さじなげB級ポイント
大館市花岡地区はかつて鉱山集落として栄え、釈迦内の西隣に位置している。熱心な秋田フリークであれば「花岡事件」を忘れることはないだろう。
1945年6月30日に中国人炭鉱労働者が悪質な労働環境の改善のため蜂起し、管理人の日本人を殺害。その捕らえられ、400人以上が虐待・拷問された事件である。 今でも毎年慰霊祭が執り行われ、弔いを後世に語り継いでいる。 心臓の強い方以外は絶対に詳細を調べてはならない。
中心街には花岡温泉(2020年末で廃業)や鳥潟会館などがあり、花岡平和祈念館では事件の詳細を知ることができる…がショックが大きいので安易な気持ちで訪問してはいけない。
そこから北に300m近く、登り坂の脇に2本の石柱が見えてくる。一瞬頭の中に疑問が沸くのだが、その先に見えてくるのが本日の主役。
大館市営長森住宅は老朽化のため、現在入居受付は行われていない。建築年代を確認できる資料が公開されていないが、昭和30年代と推測される。見た目は小坂町営あけぼの住宅にも近い。
ここで一点注意だが、目視で確認したところ3戸ほどが現在も住宅を利用している。上画像奥のB棟はまだ人間の英知を感じることができ、「人の手とは何か」を考えさせられる空間となっている。
画像では確認できないが、全退去済の住宅にはセコムの管理マークがついている。加えてJ棟とK棟はツタが生い茂り、車で訪問すると行き止まりとなる。
集落のすぐ奥には十瀬野公園墓地があり、辺り一帯は非常に静かである。
ちなみに市営住宅から北上するとコイツの登場だ。ここを通るバスを見るだけでも、花岡地区を訪問する価値があるだろう。
遠くに消えるノスタルジックを静寂が包み込む。繋沢~土目内間は400m周囲で繋がっており、うまくUターンできるので初心者にも優しい。
【追記】
2021年1月に再訪(上画像)。除雪が行き届いており、行政をありがたみを感じる道のりだった。ただ道中の花岡温泉が惜しまれながらも廃業してしまい、物静かな姿だけが残っていた。一度利用したかった…
【2023.01追記】
2022年12月再訪。匿名の人物からDMがあり、「近日解体予定」だという。
次行くときはもう見られないかもしれない。人のいない長森は恐怖を覚える静けさだった。
【2023.06追記】
彼らは更地になっていました。安らかに眠って欲しいが、入口も封鎖されていて
その姿もまた可哀そうだった。