廃村 矢島町桧沢 (ひさわ)
About 廃村 矢島町桧沢
秋田県由利本荘市矢島町荒沢字桧沢にある廃村。2014年無人(個別移転)。最盛期5戸とされるが、現在は小さな作業小屋と1戸が確認できるのみである。標高290メートルの高地にあり、長年この地をつなぎ留めてきた。
スポット評価
終末度合い | 13 |
訪問難易度 | 17 |
観光地要素 | 15 |
化石的価値 | 17 |
総合評価 | 62 |
またもや現れる矢島のサンクチュアリ。しかし今回は羽後町沿いではなく、鳥海高原花立牧場に抜ける南西側のエリアに値する。道中の周辺集落も終末観光にはもってこいの良スポットであり、ここを目印にドライブを楽しむのも悪くない。
廃村桧沢のさじなげB級ポイント
平成も終わろうという2018年の秋、まさか矢島駅周辺を散策し、お寺観光をして「満喫した」と豪語する猛者はいないことだろう。二股に分かれる県道32号線を目にしたとき、我々はそのアンテナを磨きなおし、虎の子まんじゅうを握りつぶす覚悟があるか試されているのだ。
矢島駅から真南に1キロあまり、きな臭い入口がのこのことやってきた。
今回は「林道 桧沢線」と明示があるのでスタートがわかりやすかった。
形はどうあれ、廃村の名前が形として残っているのは良いことだ。一礼して進む。
林道に入ると、ほどなく上画像のような風景になる。はじめは今晩の晩飯を考えながらのこのこと進む我々だったが、ここから先は500mの間で標高が150m上がる急こう配だった。
画像を撮影するスキマもないほどに、ヘアピンカーブをベタ踏みで登っていくことになる。駅周辺の廃村 上ノ山に至る道中(城内小田や祥雲寺から駆け上がるルート)が思い出される。
鬱蒼とした森の中を駆け上がり、2回くらい諦めかけるとようやく頂上らしき場所に達した。登り坂の獣道があったので、これから訪問する方はそれを目印にしたい。
そこからはまたゆるやかな上り坂に戻る。平穏を取り戻し、道中のことは忘れよう。
平たくなった大地をかき分け、ゆるやかなカーブで左に触れるとコイツが見えてくる。全く気配すらなかった道中に、突如として現れる大物にみな声を荒らげることだろう。
後でわかったことだが、ここまで通ってきた林道はあまり使われておらず(※軽トラ1台すれ違ったけどね)、この先に伸びる舗装道が東に100mほどのところにある「熊ノ子沢集落」に連絡している。
電車でいうと「鑓見内(上荒沢)~大曲(桧沢)~刈和野(熊ノ子沢)」路線のイメージだ。桧沢が田舎道の中継地点になっている。
先ほどの廃屋1棟が残るのみで、他は小屋かその跡がわずかに散らばっているばかりである。
田畑はほとんど手付かずの状態だったが、家向かいの小さな庭では野菜の苗がわずかばかり植えられていた。彼らだけは自然の恩恵を受け、すくすく成長しているように見えた。
分校が建っていた熊ノ子沢は、県道から数百メートル離れた高台の集落で、ここを中心に、檜沢、大谷地、石滝、濁川、野際、柴倉と小集落が点在している。地区一帯は傾斜地になっているため、棚田が多く、山水画のような風景が続く。 ※「秋田・消えた分校の記録/佐藤晃之輔/2001」より抜粋
2001年の書籍で「人口が半減」と書かれた熊ノ子沢一帯は、いずれも数戸を数えるばかりの限界集落群となっている。
廃村 貝喰のように、いつか跡形も無くなってしまうのだろうか。
ちなみに、桧沢の廃屋裏にある丘にはこんな建造物があった。よく見ると、テレビ電波を受信するためのアンテナであることがわかった。
少なからずDIYの才能には長けていたことだろう。