廃村 協和町七袋 (ななふくろ)

About 協和町七袋
秋田県大仙市協和船岡にある集落跡地。1972年に県の集落再編成事業により全戸が離村した。作業小屋らしき建物が2棟ほど残り、手前の移転集落(上宇津野)に住む当時の住民たちが耕作に通っている。
スポット評価
終末度合 | 19 |
訪問難度 | 18 |
観光要素 | 17 |
化石価値 | 18 |
総合評価 | 72 |
秋田駅前から30分あまりで廃村にたどりつけるとは、鼻に抜ける山葵のような爽快感だ。照り返す太陽は未知の歴史を照らし、記憶の欲望を瞬く間に満たしてくれる。
協和町七袋のさじなげB級ポイント
ある日、大仙市協和出身の方から「廃村に行ってみたい」という問い合わせがあった。自らの知らない地元の足跡を探すというのは、さじなげ委員以上に発情する要素があることだろう。
透き通らない曇り空の下、我々は河辺ドライブインで英気を養っていた。ドカ盛りの野菜炒めを眺めようとも、廃墟散策にはカロリーが足りなすぎる。未知との遭遇とはそういうものだ。

ロイヤルセンチュリーゴルフクラブを通り過ぎた団地の奥に、看板のない森への入口がある。これこそがかつて活気のあった集落の入口だ。
秋田・消えた村の記録には「未舗装の…」とあるが、道中は舗装されていた。離村後に整備されたとしたら元住民たちによってこれほど喜ばしいことはないだろう。

しかしそれでも安全には程遠い。今回は複数人で来たのが功を奏した。
みんなで土砂を寄せ、草木を切り裂いた。フロンティア精神で再開拓する姿こそ先人たちは遠くで見てくれていたのではないだろうか。
狭き峠を2kmほど下ると少しだけ開けてくるのがわかる。努力はきっとその先で報われる。
無洗盆地の大削げ者


協和町七袋は最盛期13戸で、林の中から大きな家屋がきらめいている。
道路から見えない箇所にも家屋が残り、農作業倉庫として利用しているようだ。

どこに家屋たちがあったかまではわからないが、目を凝らすと川の向こうにそれらしきものがいくつか確認できる。離村後もしばらくは耕作したであろう荒地も数か所確認できた。
クサい料理も炙ると香りが出るように、口に入れてみないとわからないものだ。書籍やネットだけではわからない空気感がある。これこそ秋田の未来だろうか。


一番奥の橋を渡った場所は、これから畑を始めようと言わんばかり。素晴らしい状態だった。
墓地や神社もそのまま残り、川沿いのせせらぎがかつての集落を見せてくれる。離村者が近くに住むことで、退廃もあれどその中に美しさが残る印象深い場所だ。同行した方も無言でカメラを構え、いつか見たような景色に感嘆している様子だった。