白狐の湯 サムネイル

白狐の湯 ~忍者ひそめくファントムシェルター~

白狐の湯 (びゃっこ)

白狐の湯 外観

About 白狐の湯

秋田県由利本荘市岩城泉田長田にある民営温泉跡地。1990年代後半頃までは営業してたとされるが、現在は廃業し、当時の建物がそのまま残されている。

スポット評価

終末度合い22
訪問難易度12
観光地要素17
化石的価値24
総合評価75

時代の渦に全く巻きこまれず、誰にも発見されずに留まっていたことにまず驚く。本物件に関する情報は地図以外には全く出てこないため、本記事が実質的なネット初掲載となる。

白狐の湯のさじなげB級ポイント

由利本荘市にはいつも行動力をそぎ取られる。こそばゆい距離に離された廃村の数々に始まり、例のプールは令和の時代も我々を飽きさせない。それでいて尋常じゃない疲れのお土産がセットだ。

由利高原鉄道も全国トップクラスの定期利用率となって久しいが、それでいて町の民は「遊ぶ場所がない」と自らの非力を棚に上げて嘆き続ける。この矛盾はいったいどこから生まれているのだろうか。

由利本荘市岩城泉田

それはそうと、今宵の舞台は由利本荘市の岩城亀田地区(中心地は上画像の左奥)である。忍者屋敷がファミリーに大人気であり、21世紀の活躍が期待される魅惑の観光地と聞いている。

しかし淡い幻想は砂の器であり儚くも崩れ去った。秋田県人が思い描く理想郷なるものはいつも偉い人物が筆頭株主であり、想像以上に貧しく生活する農民の生活を鑑みていない。本当に愛されるのは地域を愛している人々であり、彼らが評価されない限り町に自由はない。まさに我々のことだ。

外観
白狐の湯 正面

混沌と劣情を生きるZ世代は、亀田と雄和の間に温泉があったと話しても信じてくれないことだろう。しかし明らかに異質な外観を見逃していては、町に魅力がないと結論付けるに時期尚早だ。

そこはどんなガイドをひらけども出てこない、現世に眠る宝物の残骸なのである。

探求こそ幸福の証
白狐の湯 全貌

白狐の湯は由利本荘市の旧岩城町にあった民間温泉で、亀田地区の町はずれに鎮座している。

さじなげ委員一同からは親川の湯滝温泉とならぶ三大秘湯と揶揄され、タイムマシンの完成が急がれる奇跡の産業遺産なのである。

白狐の湯 浴槽部
白狐の湯 湯治部

建物は浴槽棟(敷地手前)と湯治棟だろうか、渡り廊下を挟んで東西に長い作りになっている。駐車スペースはほぼ存在せず、田んぼのあぜ道に停めてもせいぜい5台分といったところだ。

物件について調べてみると、2010年代前半に家主が在住していたようだが、現在は(周辺の住民が?)農作業でのみ利用しているのか住んでいる形跡は確認できなかった。もし往時を知る人物がいればコメント欄にて情報を頂戴したい限りである。いつまでもこの町に謎は尽きない。

【2022.10追記】
謎施設のままとなるはずだったが、2022年10月に衝撃の事実が発覚した。

白狐の湯のオーナーは当時、コロムビアレコード専属の現役歌手立花勝博氏だったのだ。

噂ベースの話ではなく、当時の旅行雑誌「るるぶ秋田(1991)」にしっかりと掲載されていた内容だ。

そのため、温泉には歌謡ショーのできるステージがついていたという。
連日昼夜2回公演とあるため、純烈もプロポーズしたがる働きぶりである。

日帰りの場合は500円、泊りは2食付きで6000円からとだいぶリーズナブルだったようだ。
雑誌に載っていた入口はらしき部分は確定できなかった。裏側にあったのだろうか…?

【2023.1追記】
akipota氏から2001年のときの画像を頂戴した。この頃から廃墟だったそうだ。
そして、現在は存在しないバス停に「温泉前」とある。当時はまだ利便性がよかったというわけだ。