七日市観光会館 (なのかいち)
About 七日市観光会館
秋田県北秋田市七日市館ヶ下タにあった温浴施設。90年代後半には廃墟として認識されており、建物の存在を確認することすら困難になっている。
スポット評価
終末度合 | 11 |
訪問難度 | 10 |
観光要素 | 18 |
化石価値 | 19 |
総合評価 | 58 |
ネットの渦に眠らないお宝がまたしても姿を現した。白狐の湯公開後に関係者から情報を頂戴できたように、ここも30年の時を越えて記録が繋がることを願いたい。
七日市観光会館のさじなげB級ポイント
北秋田市近辺に住む人たちには、長年疑問に思っていた廃墟があるという。
285号線の道中で、入ることもできない謎の建物があると誰もが口を揃えるからだ。
それも当然で、写真中央が入口だからだ。駐車場もなければ人が行く通路にも見えない。
これは285号線が現在の形に盛り土される前から存在していたためにできた時空の歪みで、営業時はこの道のりではなかったと考えられる。
しかしながら悲しいのは、秋田の観光がバブル期終盤から賑わいを見せた点にある。当該物件は90年代には下火ないし休業していたという情報もあり、各種書籍に名前ひとつ出てこない。
これは騙し絵か何かだろうか。森の中に見えるのはあまりにも不自然な人工物だ。
決して幻影ではない。脈打つ御霊は冷静かつ確実に蠢いていた。
火まつりにあげてやる
七日市観光会館は確かに存在した宿泊施設。2階建ての木造建築で、1960年代の地図には既にそれらしき建物が見受けられる。
全20~30部屋程度で、記録が残らないのはおかしいほど大きくて目立つ建物だ。
中心が現在の285号線からの分かれ道で、北にまっすぐ道路が伸びる。
当時は山を登ることはなく、そのまま直進する通路だった。
同じ場所で比べると、現在の道路が建物敷地をえぐるように曲がっていることがわかる。
その証拠に、入口から少し進むと崖に這うように建物が残されている。
いや、これは残されているとは言わない。腰までかかる草木をかき分けてやっとこさたどりつくと、2階しか見えない。
よくよく眺めると、露天掘りめいたアーケードをくぐって建物に入る造りなのがわかる。
写真(望遠)では分かりづらいが、これが建物の玄関だ。
行き止まりでコの字形の建物があったはずだが、すべてが存在していない。ハリボテだ。
それもそのはず。有志の方から頂戴した2000年代初頭の写真でも崩れに崩れている。
残っているのは端の2か所のみで、真ん中は潰れきって部材が土の中に還っている状態だった。
しかし、ここは確かに七日市観光会館だ。足元からしっかりした書体の看板が発掘された。
きっと誰かは覚えているはずだ。ただ今は誰も知らない。観光とは何か…住民からの情報で作る県のページにも存在を消されているこの建物は、本当にあった、あったはず。