大砂川 サムネイル

廃村 大砂川 ~小さな平地、大きな努力~

廃村 大砂川(おおすながわ)

廃村 大砂川 末端

About 廃村 大砂川

秋田県由利本荘市土倉大砂川にある廃村。1976年無人。最盛期3戸とされ、離村時期は古いがすべての住宅がほぼ完全な状態のまま残っている。田んぼもよく耕作されていて寂しい雰囲気もないが、やはり周辺集落から離れすぎている現実が異世界を演出してくる。

スポット評価

終末度合い 13
訪問難易度 16
観光地要素 13
化石的価値 17
総合評価 59

当委員会初となる由利町の登場となるため、採点が少しひいき目。死にかけの矢島ジャングル天空のゴーストオフィス鳥海に比べるとどうしても道中が見劣りするため、訪問を後回しにしていたからだ。しかし我々はその采配を後悔することになった。ほかの廃村も2時間程度で回れるため、鳥海方面へお越しの際はぜひとも追加スポットとして加えておきたい。いい意味で前菜物件。

大砂川のさじなげ的B級ポイント

由利町は旧由利本荘市の中心部に近く、前郷駅を中心として交通の要所となる…はずだった。

明治後期から県南有志は「陸羽横断鉄道(≒ 横荘鉄道 )構想」を掲げ、羽後本荘から前郷駅、そして東由利~横手を経由して北上線に繋げるという夢に尽力していた。当委員会では 廃村 浮蓋(旧浮蓋駅) のページに詳しくまとめている。

かいつまむと構想は失敗に終わった。東側は羽後本荘から前郷駅まで、西側は東由利の老方まで開通した後自然災害や赤字が重なって横手駅に至るまですべての路線が廃線となったのである。そんな夢のカケラをつかもうとしたのが旧由利町にあたる。

そんな町の中心地から2駅ほど下り、由利高原鉄道西滝沢駅」裏にある「土倉沢の内」集落から今回の度はスタートする。

入口

手前にある「蔵昌寺」と北西にある「下婦台」集落が一戸だけなのが気になるが、ここは無視して進むしかない。そして沢の内を抜けるとすぐ4戸ほどの住宅があるが、これは沢の内扱いなのでフェイクである。無視して進むしかない。

農道に入るとすぐに「待ってました」風景の登場だ。車が通った跡もあるし、アップダウンも少ないのでよそよりも安心感が高い。ただしヨソはヨソ、ウチはウチ。

廃村 大砂川 道中

橋を過ぎるとすぐ未舗装道になるが、凸凹は少ないのでこれも安心。地名の由来なのか緩やかな川に沿って道路が続き、木漏れ日を浴びながら「万が一来るかもしれない対向車(※経験済)」に備えそう。

左ハンドルをゆっくり切り、戻し切った頃に廃村は見えてくる。カーブ2回の新設設計に感謝しつつ、我々はカメラを構えた。

廃村 大砂川 廃屋

母屋、倉、小屋など数棟の建物が残っていて、往時を偲ぶことができる。(中略)『由利町史』に、大砂川の点灯は昭和37年(1962年)11月3日とある。矢島町木在(きさら)から山を越えて電線を引いたという。 ※「秋田・消えゆく集落180/佐藤晃之輔/2017」より抜粋

上地図でいうところの中央南、「木在会館」があるのが矢島町木在だ。ここから北北東に電柱を引いているということなのだろう。素晴らしき、素晴らしき文明の力…!!

お恥ずかしながら木在集落はノーマーク(未訪問)であり、肉眼での裏が取れていないがロマン溢れる情報である。訪問後に行きたい要素が増えるから辞められないのだ。

畑

ちなみに入口から2番目の橋の近くから右に上れる道があり、そこが家屋の跡地となっている。

しかし訪問時には「進入禁止(所有者の許可必須)」という旨の看板が掲げられており、残念な気持ちを抱きながらも管理されていることに喜びを感じた。道中を丁寧に塞ぎ、我々のような不審者が被害を出さないよう食い止めることこそが廃村のあるべき姿だ。理想的。