おも観荘 サムネイル

強首温泉 おも観荘 ~原油かけ流しショック~

強首温泉 おも観荘 (こわくび)

強首温泉 おも観荘 外観

About 強首温泉 おも観荘

秋田県大仙市強首上野台15-16にある廃旅館。2010年代初頭に廃業したとみられ、現在も建物がそのまま残っている。施設名は「雄物川観光」の略で、川沿いに数件が産声を上げた強首温泉郷の一員だった。

スポット評価

終末度合い15
訪問難易度13
観光地要素17
化石的価値14
総合評価59

一帯が草木に覆われているため、温泉郷であることを確認することも難しくなっている強首地区…悲しみを感じずにはいられない。隔離された建物でもないため、突如出現する様相に無駄なサプライズを頂戴した。

強首温泉 おも観荘のさじなげB級ポイント

温泉郷の衰退は平成期こそピークだったといえる。戦後からの交通機関の発達により、電車沿線外エリアも保養客や周辺市町村からの利用に沸いたことだろう。

しかし全てが森岳大滝・秋ノ宮のように古い歴史を持つとは限らない。大仙市西仙北(刈和野)にある強首温泉郷のスタートは1964年、帝国石油のボーリング調査で湧出したのが始まりである。

それから2年後の1966年、台地となっている旧練兵場に湯を引き、旅館やホテルを誘致する形で開かれたことで景観の概念が構築されなかった。

強首温泉 おも観荘 メインストリート

あまりにも寂しいメインストリートを眺める。元々集落ではないため、宿泊施設以外は田園が広がっている異質な空間だ。画像右に映る建物は、住宅地図を見る限り簡易郵便局の跡だった。

90年代初頭まで5軒あった旅館たちは次々と閉館し、現在はこわくびホテルが残るのみとなっている。(※樅峰苑はあるが3kmほど離れているため、ここでは除外する。なお源泉は同じ)

強首温泉 おも観荘 外観2

各所の情報によると、2011年の震災以降休業になったとの記述が確認できる。それ以前の訪問記がいくつか残っており、心苦しい。昨今の世間的事情を鑑みると、10年後の旅館たちがどうなっているかはまだ考えたくない。

ここには上記以外にも喜龍閣、平源荘、亀楽館、強首ヘルスセンターなる施設があったが、いずれも2000年代初頭に廃業し、現在は更地となっている。温泉郷の全盛期をひと目拝んでみたかった…

こわくびホテル

温泉郷手前には、廃校を活用した資料館「大仙市アーカイブズ」が営業している。こちらは公文書館レベルの貴重な近代資料が眠っているわけだが、是非とも現代の栄華「強首温泉郷」の記録も残してほしいものだ。

お世辞にも令和の時代に伸びゆく地帯とは言えないが、当委員会の閲覧者一同は訪れるべき至宝といえよう。少しの勇気は多くの大人を救うのだから。

おも観荘 2023
おも観荘 2023

【追記】
2023年11月再訪(2枚目は建物裏から撮影)。あまり変化がないように見えるが、入口には「立ち入り禁止」を告げる看板が新たに設置されていた。

周辺には畑を耕している形跡があり、建物まわりはまだ使われているようだった。崩落の危険性も十分ある建物への侵入を試みる輩がいるのかもしれない。ルールを守って正しく散策しよう!