上小阿仁村立沖田面小学校 (おきたおもて)
About 上小阿仁村立沖田面小学校
秋田県上小阿仁村沖田面にある廃校。2007年に小沢田小とともに上小阿仁小中学校へ統合された。近年は崩壊が進行し、解体が目前に迫っている。
スポット評価
終末度合 | 18 |
訪問難度 | 12 |
観光要素 | 10 |
化石価値 | 15 |
総合評価 | 55 |
見た目にはわからない凋落が進む廃人285号だ。何気ない景色こそが一番の財産であることに気づける人間は稀である。亡くなって初めて彼の愛おしさに気づくことだろう。
上小阿仁村立沖田面小学校のさじなげB級ポイント
髙橋旅館で蕎麦をすすりながら、我々は絶品の本マグロ握り(1,500円)に舌鼓をうっていた。
休日のごちそうは一週間の疲れを吹き飛ばす神経シビライゼーションなのだ。運転のしんどさなど一口で村八分同然である。しょうもない言説には目もくれない委員会に脳汁が垂れちびる。
村の中心地はローソンや道の駅ではない。まぎれもなくここなんだ。放課後のひとときが授業中の学校より楽しかったように、帰り道にこそ魅力がさんざめいていた。
しょうもない町歩きをさせられるほど嫌なことはない。地域の良さは自分の足で探すことが最も必要であり、簡単なことも大人になるとわからかくなってしまう。
通行道から真っ直ぐに伸びた通学路は何度住民に見つめられたことだろう。その先にある小さな校舎に思いをはせながら、緊張を描いた生徒はもう現れることがない。
それすら撮らなければ忘れてしまうのに、それも大人にはわからないのかもしれない。
薄曇りの石像たち
上小阿仁村立沖田面小学校は1878年の開校。1923年に南沢分校、1928年に八木沢分校、1929年に萩形分校、1938年に中茂冬季分校を開設したビッグ校であった。1951年には大錠冬季分校も設置された。
分校だけでも数百人を抱えていた時代はどれほど前になっただろうか。本校は創立130周年記念とともにその幕を閉じることになってしまった。
その栄光を称えてか、閉校から5年あまり経った2013年にはアートレジデンス「KAMIKOANIプロジェクト」の展示会場として活用されていた。
あれから10年、現在の校舎は屋根を含む一部が崩落し、気軽に近づけないほど危険な状態になっているという。芸術とはときに脆く、作品ばかりで評価されて遊ばれた地は無残に放られがちだ。
大きく羽ばたこうとする鷲らしき怪鳥、お前だけが校舎を守り続けているよ。
見るたびにあることを祈るばかりである。もうすぐさようなら、沖田面小学校。