鳥海町百宅 (ももやけ)
About 鳥海町百宅
秋田県由利本荘市鳥海町百宅(ももやけ)にある集落跡地。2028年度完成予定のダム建設に伴い、2010年代後半から移転や家屋解体が進められている。2022年夏までに全戸が移転した。
スポット評価
終末度合い | 19 |
訪問難易度 | 16 |
観光地要素 | 15 |
化石的価値 | 17 |
総合評価 | 67 |
たいへん貴重な現在完了形の消滅集落である。近くを立ち寄る度に必ず訪問しているが、無残に去り行く姿はあまりにも悲しく、心苦しい。修学旅行先として児童を招聘させるに等しい名所である。
百宅集落のさじなげB級ポイント
百宅は当委員会で取り上げたくない。あんなにも好きだった隠れ里の姿は、もう見る影もない。鳥海町の退廃は小坂や阿仁のそれとはワケが違う、愛した町が行く度にいなくなっている。
矢島から南下して鳥海潜入、伏見の役所支所から猿倉方面を舐めて直根(ひたね)地区にイン。上直根と笹子・野宅(じねご・のやけ)を繋ぐ県道70号線の境、山サキ集落にその入口はある。法体の滝に向かうための登り坂に入ればまたひとつ我々は高みに向かうことができる。100mも登れば社会科見学の御開帳であります。
特徴的な赤い鉄塔(あえて載せない)がゴールサイン、除雪センターに続く一本道と、個人商店すえひろに続く分かれ道(上画像)がある。だだっ広い田園に家屋はわずかばかり。それでいい。
地区は東西で大きく2地区に分かれており、手前に鳥海町立百宅小学校(1984年閉校)の体育館が残っている。後ろにはプールもあるが、平成期に使われた形跡はなさそうだった。
この集落が背負う運命は周辺のそれとは違う。上述した通り集落全てがダムに沈む予定となっており、現在進行形で移転や解体作業が進められている。その影響で写真展や記録保存も盛んに行われている。
それでも現地に行くことに意味がある。事件事故の被害者に寄り添うのが難しいように、集落の心に我々は寄り添いきることはできない。蕎麦畑も雑草へと変わりゆく。
2018年7月と、2021年3月にほぼ同位置で撮影した画像だ。
わずか1年半で50戸ほどあった家屋が10数戸に減り、もはや集落としての機能は削ぎ落ちていた。
わずかに残る家屋も住んでいるのは5つあるかないか、百宅の歴史はいま瀬戸際にある。
このページもいつか更新する日が来るかと思うと残念でならない。皆さんもその目で現地を見てほしい。
【追記その1】
2022年8月再訪。ダム建設地手前の最後の集落が解体されている真っ最中だった。
4年前には奥に牧場があったのだが、牛さんたちはどこにいってしまったのだろうか。
【追記その2】
2022年12月再訪。既に集落入口(消防塔)以降は一般人の出入りが禁止されていた。
なんとか頼み、体育館跡とプールだけ残っているということで撮影させていただいた。
もはやここに向かうこともできなくなってしまった。次来るときは水の底だろうか…。