小倉野沢 サムネ

廃村 由利本荘市小倉野沢 ~山奥のハイエナ拠点~

廃村 由利本荘市小倉野沢 (おくらのさわ)

About 廃村 由利本荘市小倉野沢

秋田県由利本荘市滝小倉野沢にある集落跡地。最盛期4戸で、1987年に個別移転で無人となった。家屋一棟が半壊するも持ちこたえている。

スポット評価

終末度合い21
訪問難易度20
観光地要素12
化石的価値17
総合評価70

事実は小説より奇なりとはよく言ったもので、過去の史実や資料を掘ったところで現実は大きく異なっている。自らで調べる大切さを学べる集落である。

廃村 由利本荘市小倉野沢のさじなげB級ポイント

豊富な衰退資源を有し、委員会もB級観光のメッカとして推し進める由利本荘市大内地区がまたしても登場である。今回は最奥地のひとつ滝温泉方面へと向かい、嘔吐することだ。

羽後岩谷駅から車で30分あまり、いときん食堂をすかす県道284号線を南下すると滝大滝野地区の入口が見える(下画像)。左折すると名湯跡に至るが、今回は直進を強いられている。

滝大滝野

ドライブはいつも不運に見舞われる。梅雨時の虻が我々を出迎え、おやおやもう恋路が近いかと思い、ラブレターをきみまち坂に投げ捨てる季節かと意識が朦朧になられていた。

今年は猛暑が予想されるらしい。かつて「名湯の郷」と称された大内町も虚構の街と化し、訪れる者を不安に陥れる恐怖の聡となってしまった。残念でならない。

小倉野沢 入口

4つほど小集落を過ぎると、行き止まりらしき分かれ道が見える。直進すると滝温泉方面(訪問日は農作業車があり通行負荷)、直進後すぐ左に下るとすぐに戦後の開拓村滝長瀬沢(たきながせさわ/2戸/1988年個別移転/大半が雑木林に戻る/家屋無し)へと入る。

今回は右折し、不審に伸びる電柱を信じて歩みを進めることにした。

真実はいつも森の中
由利本荘市小倉野沢 家屋

入るとすぐにキャンプファイヤ跡地がご挨拶ご来光。嬉しい誤算である。

2012年のストリートビューにはこの付近に廃屋が散見されるが、2022年現在では確認できなかった。てっきりあどけない少女でも遊んでいるかと思いきや、神隠しは田舎にも伝搬しているようだ。

由利本荘市小倉野沢 廃屋

廃村 小倉野沢は倉の沢川の上流最奥部にあり、一部荒地になっているものの周辺集落からの距離も近く奥まった空気は感じさせない。

と思いきや横を見ると、紅をひく怪物がこちらを見ているような気がする。恐ろしいことだ。強敵こそ身をひそめる術を知っているというのか。

廃村 由利本荘市小倉野沢 内部

彼らは我々に語り掛けてくるようだった。この集落では、民謡日本一に輝いた兄弟が生まれ育ったという。長者の山はここにあったのかもしれない。

いや、よく耳を澄ませると肉食動物の唸りにほど近い。早急に退散を決めるほかなかった。