大館市 市営根井下住宅 サムネ

大館市営根井下住宅 ~三位一体の天命~

大館市営根井下住宅 (ねいした)

About 大館市営根井下住宅

秋田県大館市花岡町字根井下314、356、395番地にある市営住宅群。全49戸だが老朽化や統合構想下にあるため、入居受付は行われていない。

スポット評価

終末度合い15
訪問難易度13
観光地要素12
化石的価値9
総合評価49

理由は後述するが、あと5年は見ておきたい風景である。周辺集落からもうまく孤立しており、大館市長さえ気づかなければちょうどいい隠れ里になれたかもしれない。高得点が狙える物件だっただけに、悔しさが残る。

さじなげB級ポイント

大館市花岡地区は、湯沢市院内地区と同様独特のどんよりとした空気が立ち込めている。我々を迎え入れる商店街さえも不気味な笑顔を振りまいているのだ。ぜひとも前回の市営住宅を見てからこの記事を読んでいただきたい。

そして実は大館市には市営住宅が数多く存在する。公式に確認できるだけで19種類806世帯分も有している。ある意味手厚い。楽しみ甲斐がありそうだ。

大館市営根井下住宅 在住

早くも主役の登場である。7号線から大館市消防署北分署を舐めまわすように左折し、県道192号線を4kmほど北上する。嫌な予感を増幅させてくれる寂しげな工場地帯を抜け、唯一の希望花岡小学校、唯一の記憶花岡中学校の前を右折し、県道68号線に入る。

するとほどなく下り坂が始まるので、そこで左上に見える不穏な赤い屋根がパラダイスへの入口なのだ。もはや失うものなど何もない。秋田犬などいなくてもこの町には魅力が詰まっているのだ。発情が止まらない。

大館市営根井下住宅 解体工事

しかしそこで見たものは、あまりにも厳しい現実だった。

市営根井下住宅はほか数軒と並び、解体の判断が下されている。2018年10月から翌年1月にかけて、その歴史は粉々にされてしまったのだ。

今回の訪問はそれを聞きつけてのものであり、既に半分以上が惨憺たるリンチを受けた姿へと変わり果てていた。劣情が止まらない。

大館市

しかしながら解体の理由も納得できる。根井下住宅の奥には10数軒ながら通常の集落が広がっており、中には2,3年前に建てられたであろう新築物件もあった。

これは丘の上の行き止まり集落として、市営住宅建築後に開発されたものと推測される。事実奥のほうで、老中めいた翁がタバコをふかしていた。

大館市 市営根井下住宅 14号棟

我々は遅かった。根井下住宅様がどれほどの月日を過ごし、大館市民を支えてきたのか…今や知ることもできないのだから。
インターネットの海の中に残る最後の雄姿を死骸として映してしまった。往時のまま残すことができず、大変申し訳ない。

前回の長森と今回、そしてもうひとつの大森野住宅この3つが統合の対象とされている。せめて完成した暁には、その雄姿をいち早く収めたいと誓うさじなげ委員一同なのであった

市営根井下住宅 2021年

【追記】
2021年1月に再訪(上画像)。解体途中だった建物はどれも亡くなり、住民が住む3棟のみになっていた。掲示板の「おいでよ花岡温泉」のポスターが悲しくとまどっていた。

十三森住宅

【再追記】
平成元年の住宅地図を開いたところ、こちらでは「十三森 市営住宅」となっていた。
そして真ん中の広場はゲートボールコートだったのか…元から年寄り向けだったとは…