小坂町営あけぼの住宅 ~静かなる歴史の怒号~

小坂町営あけぼの住宅

About 小坂町営あけぼの住宅

秋田県鹿角郡小坂町小坂鉱山尾樽部にある南北に分かれた集合住宅群。道の駅「こさか七滝」や十和田湖に至る秋田県道2号線「樹海ライン」の道中にある。

スポット評価

終末度合い23
訪問難易度15
観光地要素02
化石的価値14
総合評価54

わずかながら人が住んでいるものの、場所も相まって終末度合いはピカイチ。しかし全く観光向きではなく、狭い道路には野良猫がひしめき合っている。

さじなげ的特徴

当委員会では初登場となる小坂町だが、紹介するのはもちろん明治の芝居小屋「康楽館」近代化遺産鉱山事務所ではない。

ここはその昔一世を風靡した鉱山集落のひとつ。明治初期には県内初の電気インフラ整備を達成し、お祭りには所狭しと凶暴な電球が並べられたという。しかし現在は過疎化の一途をたどり、人口減少率(-50%)は県内一を誇る。

康楽館

それでも黒沢地区とは違い、往時の賑わいを深く知れるだけでもありがたいことだ。近年では旧小坂駅を活用した小坂鉄道レールパークがオープンしたことで、鉄ヲタの皆さんの人気を集めつつある。

しかしそんな小坂町最大の魅力は、溢れかえる町営住宅だ。

小坂町営あけぼの住宅 表

メイン集落の小坂鉱山地区から東に500メートルあまり、小高い丘に隠れた曙は足にダメージをくらい、リングに倒れこんでいた。(参考:2003年大晦日)

北あけぼの・南あけぼの住宅は小坂町の公営住宅のうちのひとつで、総戸数は北が128戸(1957~1962年に建設)、南が112戸(1963~1971年に建設)と県内屈指の規模を誇っている。

小坂町営あけぼの住宅 サムネ

小坂字細前田の住宅群や細越の住宅群と比べるとかなり古い。ほぼ同時期の建築(1966~1970年)である「町営つつじ平住宅」(荒谷字上ノ平、堤ノ平 )」と比べてもその劣化具合は著しい。死んで花実が咲くものか。

公的資料を覗くと、2009年までは入居募集を受け付けていたらしい。2014年時点で入居可能な部屋は全240部屋のうち153(入居済は76部屋)とある。

小坂町営あけぼの住宅 北給水塔

北あけぼの住宅の平均家賃は1,800円と爆安。町の資料(小坂町公営住宅等長寿命化計画)には「住棟ごとにすべて空家になった時点で取り壊している状況にあります」とある。

しかし残念なことに一部を除いて実質的退去(政策的空き家)を推奨しているため、現在の住民がいなくなればここは亡くなってしまう。

小坂鉱山事務所
旧鉱山事務所兼博物館

明治から大正期にかけて小坂鉱山は時代長者となり、町北東部に巨大集落が形成され、娯楽施設や行政施設が立ち並んでいた。鉱山と駅とを繋ぐ尾樽部通りは現代の120倍の賑わいを見せ、人がひしめき合う大通りだった。

しかし昭和期に入ると次第にその栄華は薄れ、終戦後相次いで大量解雇の波が押し寄せる。小坂町史(1975)には当時の陳述が記されており、「警察官や教員など公務員のすべてが20数棟の鉱山住宅に入居しており、解雇と共に住宅が解体されると我々は行き場を失うことになる」と切迫した状況がうかがえる。

尾樽部通り
大正期の尾樽部通り

町は既存住宅(木造)の老朽化も加味し、土地探しと予算計上を進めて1952年から町営住宅の建築に取り掛かり、できあがったのが「町営あけぼの住宅」である。その後18年に及んで全394戸が整備され、県内随一の規模となった。

また、併せて15年ほど前に取り壊された「朝日が丘鉱山住宅」も忘れてはならない。ここは先述した鉱山住宅最後の生き残りだった。樹海ライン沿いにあった200戸を超す巨大団地(廃墟)は、もはやわずかなWEBサイトの訪問記録でしか生き様を知ることはできなくなってしまった。

あけぼの住宅も年々解体が進み、いずれ更地になってしまうのだろうか。

小坂町営あけぼの住宅 再訪

【追記】2021年1月再訪。道路脇の台地にひしめき合っていた住宅たちが一部解体され、所々更地が増殖していた(画像は南あけぼの中央部)。

近くを通る際は都度確認することとした。亡くなるその日まで我々は生きる。

1 個のコメント

  • はじめまして。
    私はあけぼのの育ちですが、あけぼのに住んでいる人はほぼ高齢者なので後、10年から遅くても15年くらいで多分消滅してしまいます。
    私は母子家庭でしたがここにいるお年寄りに沢山助けられてきて思い出深い場所です。
    少し前までは町のお祭りにも参加していて町内として頑張っていましたが高齢化が進みできなくなってしまいました。
    町も取り壊したいけど身寄りのないお年寄りを追い出すわけにもいかずそのままの所が多く、お年寄りも死ぬまでここにいたいと願う人ばかりです。
    私自身ここがなくなってしまう事が寂しいですが、帰るたびに少しずつ取り壊されているので仕方がないのかと思います。

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