駒形温泉 春秋亭 (しゅんしゅうてい)
About 駒形温泉 春秋亭
秋田県能代市駒形字不動沢61-9にあった温泉。2000年代初頭に廃業したとされ、現在は草が深く生い茂り、奥に残る建物への到達は難しい。
【追記】より深く潜入した様子を後半に追加しています。
スポット評価
終末度合い | 18 |
訪問難易度 | 17 |
観光地要素 | 14 |
化石的価値 | 15 |
総合評価 | 64 |
観光客を寄せ付けない距離感はUターン必至だが、その先には不遇と不屈の歴史が眠っていた。一体どんな人が利用したのかすら想像しがたい。
駒形温泉 春秋亭のさじなげB級ポイント
国道7号線の発達によって能代~鷹巣間を楽しむ者も随分減ったことだろう。ひたすらに続く人口減少に、富根少年は頭を悩ませているばかりだ。
その昔、中学二年生のフィールドワークで二ツ井町を訪れたサエモンは駅からの眺望にいたく感銘を受け、いま県内訪問を勧めるきっかけにもなったという。
能代市旧二ツ井町には随所でセキュリティ一切無視の貸自転車が設置されており、無料で利用して任意のステーションに停めることができる。
「どうぞごゆっくり終末観光を」との淫らなお誘いである。ここは一肌脱いで汚れた太ももを露わにし、不審者まがいの熱唱をかましてペダルを漕ぐことに。
富根駅裏のすぐ南から田んぼに入る一本道があり(駒形出口)、集落看板などはないが中心地に上画像の部落会館がある。ほどなく家屋はなくなるが、よく管理された田んぼと舗装道をひたすら3kmほど南下する。
途中秋田自動車道の下をくぐり、カーブミラーのある曲がり道を直進すると当該物件の駐車場までたどり着ける。
訪問後に調べて判明したことだが、駒形温泉はなんと1985年オープンだという。戦前に途絶えていた湯脈を個人が掘り当てたもので、資金調達のため10年を要して開かれた苦労の歴史がある。(参考:秋田いで湯100泉)
宿泊設備や混浴もあったというが、この地を記した資料はあまりにも少ない。復活を誰にも知られないまま、もう一度死にゆくのだろうか。
【追記】
2010年の地図にはしっかりとその姿が確認できる…ものの、
この時点で手前はジャングルになっているように見える。雪が解けたら訪問したい2022年の冬である。
【再追記2024.06】
草木が減った絶好のシーズン、潰れた入口はじめまして。
周辺田畑が耕作されていたため、そのついでに駐車場がてら近くまで刈られていたのだろう。
奥底には「報恩院奥之院」「思親殿」という看板があった。調べたところ真言宗の開祖である弘法大師が眠る高野山に関係する名称のようだ。宗教的には葬式場という意味もあるらしい。
どうやらここは青空を望む開放的な旅館のようだ。修験にもピッタリに違いない。
20室あまりはあるだろうか。周辺は泥めいた池で、撮影中にヒザ下はお陀仏となった。
民営の温浴施設だった数度の歴史のあと、宗教施設としても息絶えたということだろうか。
明らかな温泉跡は崩れ落ち、見事に成仏しているように見えた。南無阿弥陀仏だ。