北秋田市阿仁小様 (あにこざま)
About 北秋田市阿仁小様
秋田県北秋田市阿仁小様を大字とする小集落群。下小様と上小様の2エリアに分かれており、かつては鉱山の恩恵に預かり生計を立てていた。令和に入りいずれも限界集落となり、人々の記憶は薄れつつある。
スポット評価
終末度合い | 20 |
訪問難易度 | 17 |
観光地要素 | 21 |
化石的価値 | 22 |
総合評価 | 80 |
内陸線や行政が大金を叩こうとも、集落に光が落ちることはない。沈みゆく中で何もできない人間を我々は傍観するにすぎず、無知で無力な現代人として悲しみを覚えるほどに美しい。忘れられないほどに。
さじなげB級ポイント
鉱山集落の本気を町外の人間は知らない。そこに脳汁溢れだす時代錯誤があろうとも、一般人は足ひとつ向けやしないからだ。無碍な大人の中には未だに上小阿仁村と勘違いしている輩もいる。合併の弊害はそこにもある。
五十歩百歩の集落disが沿岸から聞こえてくるが無視しておこう。阿仁合を主役とする旧阿仁町は延慶(1300年頃)から600年近く日本の鉱業を支えてきた金銀銅一大鉱山地帯であり、院内銀山と双璧を成す存在だった。
しかし次世代にはそんなこと関係ない。いくら年寄りが栄華を語ろうとも、その恩恵を享受できるとは限らない。度重なる歴史の強制によって多くの人間が街を離れ、出稼ぎから帰ってくることはなかった。
たいへんな難産によって完成した秋田内陸縦貫鉄道も平成初期から存在が隠れ、みせかけの魅力をひけらかした姿を多くの人間が哀れんだ。幹線道路から外れたここ小渕駅に降りる猛者もごくわずかとなった。
しかし忘れられた駅裏のトンネルを登れば、清流に包まれた絶景と共に桃源郷が姿を現す。
北秋田市阿仁小様は川沿いの3kmほどに10数名が暮らす静かな集落だ。近年では頑張る集落群や守りたい里地里山にも認定されているものの、役人が逆効果だと気づくのはもう少し先の話になる。
ストリートビューを眺めれば訪問意欲は大きく向上することだろう。誰が散歩するでもない終わりかけた村の姿、捉えずして何が秋田観光再発見か。プレミアムに宿泊したいのはこういう場所に違いない。
守れない感動を胸にしまいつつ登ると上画像となる。一見集落は終わりに見えるが、この先にまだ目的地がある。
一旦登った道を川沿いに下り、錆びた橋を渡ってS字カーブを潜れば向林集落への到着となる。
建物は3戸ほどあるが、現在1戸が生活するのみとなっている。本当の限界集落など中々見れるものではないが、馬鹿にする気持ちなど一切なく恐怖を覚えることになる。無力な人間を思い知るしかない。
ちなみにこの一帯には1986年に全戸が離村した大石沢集落や三枚小学校跡(荒地)、合滝集落(1戸)などがあるが道路状況が悪化しておりあまりオススメできない。
どうしようもない最高の自然を目の当たりにして、貴方は感動を覚えるか。それとも恐怖を感じるか。