院内歴史の里 (いんない)
About 院内歴史の里
秋田県にかほ市院内大門から東に300mほど登った先にある産業遺産群。案内看板が少なく、道中は山道にも近い荒れ模様のため一般人観光客は皆無。かつて産業があった場所とは思えないその異質さが探求心を湧き立てる。
スポット評価
終末度合い | 17 |
訪問難易度 | 13 |
観光地要素 | 16 |
化石的価値 | 18 |
総合評価 | 64 |
豊川PPとは違って少々山奥にあるため、初見での訪問は躊躇われる。しかしながら地域住民の努力と愛情が詰まっており、ここを目的としてにかほ市を訪れても十分な取れ高が出不精の調査隊を誘惑する。不埒な奴め。
院内歴史の里のさじなげB級ポイント
廃墟散策は寂しさ感じる組立玩具だ。今宵もパーツを集めよう。
仁賀保駅前からビフレ経由で南下し、パンピーは目を向けないにかほ市内陸地帯へと足を踏み入れる。2018年に小出や釜ケ台を統合した院内小学校付近を東へ進み、小さな水路流れる大門集落から禅林寺を眺めると気分は上々だ。
集落の端まで直進すると、「山根館古道」への行き先を示した標柱がある。左のにかほ高原側ではなく、古道側に狭い通路を上がっていくことになる。
鳥海町高山ほどは登らないので少しばかり我慢してもらえば、パーティー会場はまもなくオープンとなる。我々こそがパリピの権化なのだから。
めったにお目に書かれない廃墟用の案内看板が嬉しい。ふとした出会いにも知識と関心を増強させてくれる心遣いに深く頭を下げよう。
しかしながらこの看板はポンピングパワーユニットの説明にとどまっており、せっかくの建物付随アイテムとしては少々物足りない。惜しい…
離れた場所にもう一つある看板にも明記されているがここは「院内油田」として明治~昭和初期にかけて国内最大規模に栄えた油田地帯なのである。
大正期には第一号井戸が5kℓ/日の採掘に成功、昭和期には平沢(仁賀保駅前)に製油所を建設し、11万kℓ/年の生産を達成した。近隣の小国地区と共に栄華を奮ったとされているが、今では地域の教科書からも忘れられつつある。
R(ロータリー式)31(番目に造られた)A(旭石油社製)の略で、現在はこの井戸のみが現存している。昭和初期から平成元年頃まで採掘に携わっていたとされ、30年以上経った今は錆びも多くなり、観覧期間はそう長くなさそうだ。
こちらも看板があるが、採掘方法の記述がほとんどで肝心の地域産業に関する歴史や覚え書きが乏しい。手弱女ぶりな優しさがもう少しあればトップクラスの産業遺産になりうるポテンシャルも秘めたB級スポットだ。
いちおう行き止まり地帯ではないため、少し登ると隣の集落に下ることもできる。途中には先ほど標柱にもあった「山根館」跡地もあるため、併せて訪問しておきたい。
【追記】
全盛期1940年頃の院内油田(現施設周辺)です。1970年代の地図(2枚目)や現在のマップと比べても、その規模がわかると思います。
その後1942年に4社が合併して帝国石油となりました。当時の活気はどこへ…