二ツ井町 旧田代小学校 外観

二ツ井町立田代小学校 ~陰り始めた辺境博物館~

二ツ井町立田代小学校 (たしろ)

二ツ井町立田代小学校 外観

About 二ツ井町立田代小学校

秋田県能代市二ツ井町田代にある小学校跡。1878年開校で、現在の建物(上写真)は1949年、新校舎(ページ後半で載せている建物)は1960年に建築されたもの。2007年に127年もの長い歴史に幕を下ろした。

スポット評価

終末度合い19
訪問難易度18
観光地要素20
化石的価値20
総合評価77

田園風景にポツンと残る飛び地のような小学校はちょっとした恐怖も感じられる。人通りも極めて少ないため、本当にかつて子供が通っていたのかと疑問すら覚えてしまう。そして何よりプールの無機質さが怖い。

二ツ井町立田代小学校のさじなげB級ポイント

能代市二ツ井町の廃校シリーズは、旧仁鮒小学校旧切石小学校に続いて3校目になる。つまりコイツがボス級の扱いということだ。

南北に広い二ツ井エリアをいとく付近から南下し、県道203号線(高屋敷茶屋下線)のいちょう橋を渡れば前述の仁鮒小にたどり着く。しかし今回は更に足を進め、揚石トンネルをくぐって未知の世界へと参ろうではないか。

二ツ井町 旧田代小学校 揚石トンネル

揚石トンネルを出てすぐ右にある未放送道の先は廃村「揚石」とされているが、季節柄熊を考慮したことと車での到達が困難だったため未訪問である。次回は再度チャレンジしたい。(※曲がってすぐの荒地ではないらしい)

そこから八木沢集落への道中を感じさせる川沿いの道が続いていく。B級旅の醍醐味ともいえる知的好奇心林道だ。
しばらく何もない林をくぐりぬけると、ギリギリ集落としての空気を保つ横渕エリアが現れる。突き当たりは294号線(能代市桧山地区へと続く)と合流しており、左折して進もう。

ちなみに294号線の先は更に川沿いが続き、濁川嘉賀助沢まで続く5kmほどの旅路となっている。ナビがなければ、初見ならまず間違いなく途中で引き返すだろう。

二ツ井町立田代小学校 看板
「もっとしりたい」のはやまやまだが、何も知ることができない。

左折した先の小集落2つ目にあるのが本日の主役だ。
旧田代小学校はL字型の木造2階建て校舎で、同一敷地内にグラウンドとプールを配備するナウい学校だ。

なお「田代杉の子博物館」は…全くもって詳細不明である。合併前後の道路地図を探したが「集会所」との明記にとどまっており、住民自治による自主運営施設だったと推測される。

二ツ井町立田代小学校 銅像

プール周辺は苔が生い茂り、排水溝は小さな湿地帯となりそこから草木が映えるちょっとしたトラウマスポットに変化している。

しかしこの僻地にありながら、きっちりした屋外プール付きとは珍しい。25mの隣には底の浅い円形のプールもある。逆に言えば段上げされていない平地に掘る形で作られており、仕切りも1mほどの網目状白格子があるのみでロリコン歓喜の状況となっている。時代が早すぎたんだ…

二ツ井町立田代小学校 全盛期
全盛期の姿とみられる空撮。写真左部分(北方向)がグラウンドと思われる。

閉校後数年は利活用に関する公募も行われていたが、地理的条件が悪いため手が挙がることはなかった。

2017年資料では「旧田代小、旧切石小、旧仁鮒小の順番で(解体を)検討している」という記述もあり、間もなく本当に幕を下ろしてしまう可能性が高い。

【追記】
2022年末、上述した懸念が現実となった。とある町民から「田代小が解体されている。校内のものはすべて撤去する指令となっており、工事業者が困惑している」とのことだった。

つまり切石小仁鮒小も2023年は存続が怪しい。そして田代は…無くなってしまったのか…?
雪解けしたら見に行きたい。もどかしい気持ちを募らせる冬の季節である。