仙北市立西長野小学校 (にしながの)
About 仙北市立西長野小学校
秋田県仙北市角館町西長野中泊にある学校跡地。2008年に角館西小・角館東小とともに角館小学校へと統合された。美麗な校舎と体育館がそのまま残されている。
スポット評価
終末度合い | 23 |
訪問難易度 | 12 |
観光地要素 | 20 |
化石的価値 | 25 |
総合評価 | 80 |
うん十年通っているのに何故気づけなかったのか。いかに廃校が存在感を里山に消しているかがよくわかる。良くも悪くも大きな衝撃を放つ大型物件である。
仙北市立西長野小学校のさじなげB級ポイント
我々は長らく、介護施設の「さわやか桜館」を学校跡地だと勘違いしていた。しかしゼンリン地図と筋肉は裏切りを知らない。運命の悪戯が我々を独身にさせ続けるように、神様はおてんば娘なのだ。
角館西部といえば雲沢ドライブインが知られた存在だが、タイヤ製のエセ道祖神や川崎分校など歴史文化への造詣が深い場所でもある。通り過ぎる前にまた立ち止まっておきたい。
ふぬけだった。大々的にアピールされていたはずなのに、雑誌一つ載らなければ人間はいとも簡単に視野を狭くしてしまう。哀れなものだ。132年前からまやかしにでも逢っていたのだろうか。
丘の先に見える校舎は明らかに異彩を放っている。若干異臭もしたが、これは堆肥の影響だった。
国道からだと、ちょうど介護施設に隠れて見えない立地なのだ。開けた直線のため、脇見をするような余力もなくなっているバイパス手前である。これだから老化は困るばかり。
紅葉に見とれてもたついていると、背後にはみちのくのガウディが睨みを利かせていた。
もうひとつのトンデモレガシー
仙北市立西長野小学校は田園の奥に隠された廃校で、建物がそのまま残っている。現在は「西長野交流センター」扱いで、ときおり地元のスポーツ集団が活用しているようだ。
しかし重要なのはそこではない。一目でわかる洗練デザインが辺りを包み込むからだ。
特徴的な流線型のフォルムでお気づきの方もいるかもしれない。この校舎はあの秋田市立体育館を手掛けた有名建築家渡辺豊和氏の作品だと言う。鈍感な我々はこの事実を後から知り、たいそう驚いた。
クレイジーグレーのオフェンスがプッシュをかけてくる。だからチャーリーは苦手なのだ。ホイ捨てされた作品がまさか角館にも残されていてたとは…。ランチタイムにオススメな校舎である。
更にこの校舎は1992年の設計で、ターゲット層ミスりすぎお遊戯垂れ流し自称テレビ局★アリーナの建築よりも2年も先の先輩物件だという。ここを実験台にし、あの迷…名建築が紡がれたのである。
そしてお察しの通り、現在その芸術性は一切無視されている。町中にある美術館とは何が違うのか、我々にはさっぱり見当がつかない。
美しい校舎に広々としたグラウンド、しかし人間の数はこれほどまでに少ない。でも予算は多かった。
つくづく映画撮影あたりに使われてほしいと思うばかりだ。その命、いつまで持つものか。
【2023年秋追記】
薄曇りだと静かで怖さが倍増している。色褪せもより一層不気味さを引き立てていた…