廃村 阿仁町鍵ノ滝 (かぎのたき)
About 廃村 阿仁町鍵ノ滝
秋田県北秋田市阿仁鍵ノ滝鍵ノ滝にある集落跡地。最盛期5戸で、1971年に集落再編成事業により全戸が移転した。家屋の跡がわずかに残るが、往時の面影はほとんど感じられない。
スポット評価
終末度合い | 12 |
訪問難易度 | 18 |
観光地要素 | 11 |
化石的価値 | 08 |
総合評価 | 49 |
歴史は知らぬ間に失われていく。誰が気にするでもなく、自然だけが人間の弱さをまざまざと見せつけてくる。しかしかつての住民は力強く、たくましく生きていたことだろう。
廃村 阿仁町鍵ノ滝のさじなげB級ポイント
明治のはじめ、鉱山技師が来日した阿仁合には希望が満ち溢れていた。圧倒的な財力と未来への希望を携え、山間ながら富と名声を手に入れた豪商たちが札束を携えて飲み屋街を闊歩していたという。
あれから時代は過ぎ去り、歩き回るのは意欲のある老人と珍しい観光客だけになってしまった。そんな阿仁の町は開発の概念から遠く置き去られ、流れない時間が心苦しさを感じさせる。
そこから南に1駅、荒瀬地区には農村公園と緑地広場なるポケモン剣盾めいた場所しかない。
放浪一眼お兄さん程度しか降りる者はいないが、真の廃墟ファンは阿仁小様や鉱山跡地を巡ることができる試練の名所となっている。
森吉山阿仁スキー場(1988年の道路と併せて開発)へと向かうさもしい3Dダンジョンの道中に目的地はある。ただ廃村ひとつのため向かいにはあまりにも長く、つまらない旅路である(5月撮影)。
10kmという数値が永遠にも感じられる空虚の登り坂が続く。人生とはこういうものなのか。
道路開発の恩恵(没後)
荒瀬から20分ほど人生を見つけなおすと、わずかな集落(櫃畑村ノ内)の先に「鍵ノ滝橋」が見えてくる。正確にはこの間に櫃畑集落があった(最盛期8戸/1973年移転)。しかしそいつは跡形もなく消え去り、一帯は杉林に戻っている。(櫃畑橋の付近)。
現在は道路も整備されているが、以前はどれほどに厳しい山中だったのだろうか。冬期間の幻想はとても想像できるものではない。出口はもうすぐだ。
上記が廃村 阿仁町鍵ノ滝の全貌である。2014年のストリートビュー(下埋め込み)には往時の画像が納められているが、残念なことにこれが最期の姿となってしまった。
「秋田・消えた村の記憶」には「往時の住民が山の手入れの際に使う小屋」とある。大正5年生まれとあるので、これはつまり…。雑多なゴミだけがそのご冥福を祈っていた。
【2023.01追記】
1969年1月の広報あにで、鍵ノ滝地区が町営放牧場になるとの記述があった。
全戸離村手前のため活用法を考えたのかもしれないが、いまではそれも確認できない…
※併せて3月号では分校入学者0人と記述があった。早すぎた過疎化。