柴平発電所従業員宿舎 (しばひら)
About 柴平発電所従業員宿舎
秋田県鹿角市花輪字柴内熊堂1-3付近にある柴平発電所脇の従業員宿舎。2000年代初頭に廃墟となり、アクセスも閉ざされたためクマのアジトとなっている説が濃厚である。
スポット評価
終末度合い | 24 |
訪問難易度 | 24 |
観光地要素 | 20 |
化石的価値 | 25 |
総合評価 | 93 |
隔絶された世界に何故我々はロマンを感じてしまうのか。異性交遊の時間を無下にし、人間なる概念と隔絶したことで痛い共感を感じているのかもしれない。RPGの高ダンジョンに近いもどかしさが炸裂していた。
柴平発電所従業員宿舎のさじなげB級ポイント
2021年秋、11月の予想外の忙しさに訪問計画をなおざりにし、ディナーを適当に済ますことで人間味を失っている委員長がそこにはいた。
不測の事態を案じたサエモンが重い腰を上げた。「腰痛には背筋がいい」と聞いたので、自宅でトレーニングをスタートしたのである。当然その努力は委員長に届くはずもなかった。
そんな監査役を尻目に、石塚は2000年にタイムスリップしていた。廃墟訪問にグレゴリオ暦は通用しない。太陰キャ暦30年余りのベテランが鼻息荒く点鼻薬を注入していた。久々の散策に踊る肉塊、心なしか少し痩せただろうか。
鹿角市役所と大湯環状列石の間にある県営66号線から東に進んだ場所にある花輪(柴平)地区は住宅もまばらで、メイン道路の様相から早くも一線を画す田舎スタイルをおしなべてくる。
集落の入口から挫折してるストビューはあてにならない。迷うことなく間瀬川を北上する珍走団はスケジュール提示などもってのほか、逆鉄拳のツル山肌が見えたらダムチャンネルの合図。チャンスの前髪切り忘れ達郎。
最奥まで行けば発電所が初めましてご趣味はなんですか。車を停めたら清流にかまされる日曜日がいる。
県営柴平発電所は1964年に運用が始まった水力発電所で、道中の登りも少ないため比較的容易に訪問できる(党機関を除く)。景観もよく、年下彼女をデートに連れてきてフられたいくらい良スポットだ。
いけない。妄想はほどほどにしかねればならない。現実へと立ち戻り、あたりを見回してみた。
発電所の手前、豊かな小川の向こうに何かが見える。あの赤は自然のそれではない。
敷地内からの侵入も、掛かる桟橋も手前の田舎道も何もない。ここは無人島なのだろうか。
更に見回すともう2棟、合計3棟が仲間になりたそうにこちらを見ている。フィーリングカップルならありがたいが、これほどまでのステルスホラーもそうそう恐ろしい。当然人間の営みは感じられない。
80年代の住宅地図を開くと、たしかに「柴平発電所従業員宿舎」と記されている。道路発達前の雪深い地域であることを考えれば、山間でなくとも宿舎があった理由も納得できる。
かつて袖川で見た彼とは全く様相が異なる。街中近くにありながら人さまに気づかれず時を刻んでしまった哀れな残骸が令和に伝わっていたのである。
これもまたひとつ歴史の陰に隠れてしまうのだろうか。川を超えての散策には、背筋力が必要に思えた。