廃村 井川町丸木橋 (まるきばし)
About 廃村 井川町丸木橋
秋田県南秋田郡井川町赤沢字丸木橋にある集落跡地。最盛期3戸で、1949年に個別移転で無人となった。盆地沿いに耕作地と作業小屋が残されている。
スポット評価
終末度合い | 21 |
訪問難易度 | 17 |
観光地要素 | 18 |
化石的価値 | 19 |
総合評価 | 75 |
昭和初期から70年の月日が経った古株の廃村である。その割には生命の息吹が感じられ、元住民の矜持が強く感じられる名所である。空虚に近い知名度に反し、あり様は美しく輝かしい。
廃村 井川町丸木橋のさじなげB級ポイント
後出しじゃんけんの使い手「井川町」が遂にさじなげ委員会に降臨する。町のホームページを検索すると虚無のメタデータが表示され、道路脇にはかつてアーテストがこしらえた彫刻の数々が軒を連ねる。
取り急ぎ町長と名刺交換した際に自己紹介を繰り出し、軽く引かれたことが思い出深い。イェーイ町長見てるー?おたくの物件を掲載するからね、公用PCで見ないようにだけお願いします。
話を本題に戻そう。残念ながら当廃村は井川町からの訪問が困難である。町の貯水槽付近から南方向に右折すると、井川と潟上(昭和豊川)を繋ぐ県道112号線「久保秋田線」に入る。
しかし道中には林業作業所があるほか、いくつか倒木もあり軽でギリ通れるかどうかの状況になっている。当然草木をかき分けて進むことはご了承いただきたい。
仕方ないので潟上市の豊川山岸地区から入り、両地区の境界となる丘の山頂を目指す。
先ほどの画像から3回カーブ曲がっただけなのに随分と登っている。先は流そうだ。
行政のあぶく銭トラップ
曲がりくねった坂道を登ると、道中で不気味な空間が我々を迎え入れた。
「緑と自然散策の森」と冠された自然公園らしいが、まさか町境の廃村近くに廃公園があるとは思わなかった。人間の営みは長らく感じられず、ジャングルの先住民に支配されていた。
案内板ではそれなりに整備された公園が演出されている。嘘つきは駅前だけにしてほしい。
よく見ると学校の学習林があったことがわかる。宜しくよく右側の豊川小学校は2012年に閉校しており、林は原野に戻っておられる。左の大久保小も大豊小へ統合となっており、この案内板は一切の役割を果たしていない。ただ右上の「至井川町」のあたりが廃村跡地である。意味はありそうだ。
謎の公園を過ぎて間もなく、わかりやすい分かれ道がかつての集落への入口である。
廃村井川町丸木橋は小さな田んぼ数枚が残っているが、その立地条件の悪さも相まってか昭和24年に全戸移転となってしまった。前述のとおり学校を含めた生活圏は昭和町豊川に属しており、便宜上行政区分だけが井川町という扱いになっている。
現在の112号線開通前、井川町方面への交通は困難を極めたことだろう。山間部には三ツ方森のように生活圏が越境しているケースがたまに見受けられるが、比較的沿岸部でこのケースが出ることは大変珍しい。令和の時代では想像がつかないが、生活には苦難が多かったに違いない。
そしてこの僻地が今も耕作されていることに深く感激した。これこそ現地でしか味わえない廃村のロマンともいえる。新米ママの公園デビューにオススメなルートとして推薦したい。