茂内駅 外観

小坂鉄道 茂内駅跡 ~ポテンシャルの狼~

小坂鉄道 茂内駅跡 (しげない)

茂内駅跡 外観

About 茂内駅跡

秋田県大館市雪沢字茂内屋布5-1にある廃駅舎。1994年に旅客営業を廃止し、現在は特定非営利活動法人大館・小坂鉄道レールバイクの所有かつレースコースとなっている。献身的な保全活動も行われているが、2020年は感染症の影響を鑑みて全面営業停止の決定が下された。

スポット評価

終末度合い17
訪問難易度14
観光地要素19
化石的価値22
総合評価72

旧小坂鉄道に唯一残された駅舎だが、小坂駅の全面リニューアルによってイマイチ知名度が上がらない。主要道からやや外れることと、駐車場などがないため観光地活用には課題が山積している。

茂内駅跡のさじなげB級ポイント

初めに釘を指しておきたいが、我々は鉄道ファンではない。愛好家の皆様に肩を並べることは決して許されない立場であることをご理解いただいたうえで、いち廃墟として訪問している。

さて、面倒な方々がいなくなったところで本題に入る。小坂鉄道は1900年初頭に鉱業専用道として整備された、大館~小坂を結ぶ22km余りのローカル鉄道である。2009年にすべてが廃止され、その後は大館市に譲渡されてから上述したNPO法人に管轄が移っている。

ご存知の通り小坂町近辺は衰退が著しく、秋田県内でも屈指の人口減少率(50年で半減)を記録している。そんな時代の流れを受け、小坂鉄道跡も大半の駅や路線は撃鉄の衝撃に耐えられずにいる。

小坂鉄道 籠谷駅跡
籠谷駅跡付近

小坂鉄道付近は現在県道2号線が走り、大館から十和田湖までを結ぶキレイな田園道路が完成している。しかし昭和時代は悪路として有名で、小坂以北は地元住民以外の通行は観光雑誌でも危険地帯と案内される始末だった。

それでも道中は奥大館の隠れ里「雪沢温泉」を有し、昭和テイストを現在に伝える自然のテーマパークである。

そして小坂鉄道の数少ない未採掘鉱山こそが「茂内駅」である。

駅の手前には小さなの公民館や簡易郵便局があり、小集落界のコンパクトシティを形成している。更に手前には木造校舎も現存しているが、残念ながらこちらは企業用地となっていて児童は存在しない。

茂内駅跡 外観
道路から少し上げられた丘の上にある。

便宜上は「関係者以外の敷地内立ち入り禁止」になっているが、周囲を囲うものは何もない。我々は迷惑な鉄道なんちゃらではないので、構内には足を伸ばさず駅舎前のみを見学した。

茂内駅は島式ホーム(線路を渡って反対側に行くタイプの待機スペース)があり、2年前に訪問した折渡駅を思い起こす。彼はリフォームされて現代っ子に成り下がったので、営業時の姿を残す茂内氏に感動すら覚えた。

茂内駅 駅舎内
駅舎内(社員用スペース)。奥にあるのは「タブレット閉塞機」

駅手前には歴史を丁寧に解説する看板(平成期に設置)もあり、今後の更なる活用が期待できる。

かつては長木沢支線(茂内駅から4km北上した先に長木沢駅があった。集落から離れている場所にあり、現在は原野に覆われていて跡形もない)の起点としての役割も有していた。敷地内には全国的にも貴重な設備が多数残っており、産業遺産としての再利用を望みたい。

茂内駅 2021年

【追記】
2021年3月再訪。雪に映える青のデザインが素敵なの。また来たいの。