羽後町立上仙道小学校 (かみせんどう)

About 羽後町立上仙道小学校
秋田県雄勝郡羽後町上仙道約束沢にある廃校。1996年の閉校後、校舎部分を建て替えて農家婦人活動促進施設「ポプラ館」となった。築70年近い体育館はほぼ当時のまま活用されている。
スポット評価
終末度合 | 11 |
訪問難度 | 17 |
観光要素 | 19 |
化石価値 | 23 |
総合評価 | 70 |
美しい。美麗なものは直接褒め称えた方がいい。西馬音内だけの羽後観光はあまりにももったいないことだ。昭和の山村を今に残す羽後町内陸部はいかに過小評価なことか。
羽後町立上仙道小学校のさじなげB級ポイント
上仙道は2024年7月に掲載した仙道中学校より更に奥にある地区だ。とても子供がいたようなエリアには思えないが、手前には仙道小学校(2016年閉校)がある。
向かいの保育園はギリギリ開園しているが、いつまでもつかわからない。遊具も寂しそうだ。

山を越えると由利本荘市鳥海に出ることができる奥地だ。矢島高等学校笹子分校の近くと考えればイメージしやすいだろう。出来ない人は今すぐ鳥海に行くべき。
羽後町の内陸部は道路が広いものの、家屋は点在し倒壊したままの木々も放置されている。過疎を身近に感じられる厳しいエリアでもある。
しかしそれでは楽しみきれない。仙道中と同様、羽後町さんの許可を得て特別に建物内を撮影させてもらった。このような快い市町村が増えてほしいと願うばかり。
見た目以上に驚きが多いその遺産たちを見ていこう。
尋常高校がよんでいるタタタン


羽後町立上仙道小学校は1903年の開校。1996年の閉校に至るまで1652名の児童を卒業させてきた。
2021年の某氏のブログで「校舎も健在」とあるがこれは誤りで、白い建物は1997年に建て替えられたスペースである。小さな図書室や調理室などがあった。


そして見事な体育館である。実は撮影翌週に照明がリニューアルされるタイミングで、偶然にも旧式設備が使われている最後の姿を捉えることができた。
役場の方曰く、毎週のように卓球やレクリエーションで老若男女問わず利用があるという。歴史ある建物の維持はやはり実績があってこそだ。


これもまた珍しい。独特な歌詞が興味をそそる上仙道小学校児童会の歌や版画の数々。
令和になっても無駄なハコモノを新設したり交流施設(笑)を増築する話が絶えない秋田県だが、既存施設の良さを理解したうえで開発を進める偉い人間がいったい何人存在しているのだろう。

体育館奥のステージ上はまさかの音楽室だった。閉校後もしばらくは夏祭りや年中行事で利用していたため、照明設備や当時の小物がそのままになっているのだとか。
しかし歪みや陥没がなく、他市町村の廃校と比べてもかなり秀逸だ。利用のある鶯野小ですら穴だらけだったのに、スキマ風ひとつ感じない素晴らしい出来栄えだ。

図書スペースも侮れない。県立図書館や県内各地図書館に蔵書のない「わたしたちの郷土秋田県/秋田県郷土地理研究会」や1955年製の児童向けレコードがハダカのまま保管されている。
更に驚いたのは上の写真が。1936年に仙道小陸上部が全県総合で2位となったときの記念写真だという。もう90年近く前ですよ。しかもこの中に案内してくれている役場の担当者のおじい様がいる聞いて更に驚いた。誰か「仙」のシャツ持ってたら買うので出品していただきたい。

とにかく美しい上仙道小学校だ。町外の人でも1日1,000円で利用できるという破格の値段設定…。
もはやあるうちに使い倒したい隠れスポットである。この夏は羽後町で遊びたおそう。
分校出身者へのインタビュー冊子もできました。サイトに載せれない情報が大量に…