折渡駅 ~経験値で進化するタイプの秘境~

折渡駅(おりわたり)

2015年夏撮影。この頃は今より哀愁があった…

About 折渡駅

秋田県由利本荘市上黒川字泉田にある、JR羽越本線の無人駅桂根駅同様利用客が少ない元信号場のため、大半の列車は通過してしまう。線路沿いでありながら電車訪問はやや面倒な困った駅なのだ。

スポット評価

終末度合い 14
訪問難易度 18
観光地要素 7
化石的価値 13
総合評価 52

大張野駅と同様に近年改装工事が施されたため魅力は半減してしまったが、それでも手付かずの駅舎と真新しいホームのコントラストが逆に新鮮。どのシーズンに来ても静かにメッセージを伝えてくれる。近くには謎の公園もある。

折渡駅のさじなげB級ポイント

折渡の(正式な)駅としての歴史は以外にも短く、まさかの1987年から。そのため大張野の際に活躍した名著「各駅停車全国歴史散歩⑥ 秋田編」にもその名前はない。なかなかの難産だったのだ。ただ「悲願の昇格!」とかそういうわけでもなかったらしく、近年の秘境駅ブームが訪れるまでは完全に忘れられていたといっても過言ではない。

駅名の由来は下記の通り。

部落名は上黒川であるが、亀田から岩谷へ通ずる峠に行路病死者のため赤田の閑居和尚が地蔵尊を祝り、これを折渡地蔵といりい、トンネルが地蔵を迂回しているところから俗名をとり折渡といった。  駅名の由来(秋田鉄道新聞社/1973)

地理的な面で見ると旧亀田小学校に通うため使っていた児童がいてもおかしくはないが、隣の亀田駅には歩いても15分くらいと大したことないためその可能性は薄い。

とにかく酒田行きの列車が少ないため、秋田方面からの訪問は困難を極める。

しかしこの駅には多くの愛好者がいる。先述の秘境駅ブームにより、「駅ノート」には2日に1人のペースで誰かしらが訪れている。中には関東近郊や、海外の方もいる。訪問時は是非一筆書き留めてほしい。駅舎は行員の冬季休憩所も兼ねた小さな作りになっているので、ちょっぴり鉄道マン気分も味わえる。

現在は見られないが、ガタガタのホームが名物だった。

反対側のホームに行くためには、線路を直接跨いでいくしかない。いちおう橋げたのように枕木が敷いてあるものの、十分な注意が必要だ(反対側にはバス待合所のような小屋がある)。

利用に安全を期すため、電車通過を予告する際には警告音が鳴るようになっている。しかしこれが物音ひとつない無人駅に突然響き渡るサイレンのため、心臓の弱い方はそれなりにご注意を。更に特急が通過する場合にはサイレンから列車通過までの時間が短いためかなりご注意を。

人が来るからこそ直さないといけなかったのか…?

また前述の通り、2016年秋頃にはホームが全面リニューアルされ、手すりもついてお年寄りにも利用しやすい仕様となった(地元住民はほぼ利用しないらしいが)

枕木を積み重ねたガタガタのホームは姿を消し、フラットで現代的なホームがギラギラと田園風景に現れたのだ。視覚障がい者が訪れるのかは全くもって不明だが、点字ブロックもあるので秘境駅の中ではフレンドリーな部類に進化した…ということにしておこう。

ちなみに訪問の際片道はどうとでもなるものの、帰りの電車が長時間現れない場合が多い。駅周辺は一時間あると一通り回れてしまうため必然的に最寄り駅まで歩くことになるが、羽後岩谷に行く場合特に「折渡千体地蔵」経由での峠越えを図る場合はかなりの覚悟が必要である。最大限の注意を。